更新日:2026.06.10
公開日:2026.06.10

貯金目的のリゾートバイトから新潟・佐渡島へ移住、旅館の営業部次長になるまで

貯金目的のリゾートバイトから新潟・佐渡島へ移住、旅館の営業部次長になるまで

従来の「若者の思い出作り」や「一時的なつなぎ」というリゾートバイトのイメージは、今や変わりつつある。人生の転換期に一度立ち止まり、自らの生き方やキャリアを再構築するための「キャリアブレイク」として活用する大人が増えているのだ。
40代前半でリゾートバイトの世界に飛び込み、現在は新潟県・佐渡島のホテルで営業部次長として活躍する直山さんも、その一人である。
「人生をやり直す」ために選んだ期間限定の働き方が、なぜ「一生の仕事」と「本気の移住」に変わったのか。そこに至るまでの心境の変化を聞いた。

40代前半、人生をやり直すために選んだ「住み込み」という選択肢

直山さんはリゾートバイトを始める前、個人雇用での仲居の仕事や、母親が営む店の仕事を手伝う生活を送っていた。その後、結婚を経て主婦業を経験する。接客業やサービス業がそもそも好きだった直山さんは、人と接する仕事に対して最初から抵抗は一切なかったという。

しかし、離婚を機に「人生をやり直すための道」を模索することになる。その際、インターネットの広告で偶然見つけたのが、リゾートバイトの求人サイトだった。

「リゾートバイトを始めたときの目的は、お金を貯めること。もうそれ一択でした。私はある程度年齢を重ねてから、リゾートバイトの働き方を知りました。人生をやり直すにあたり、食事と住み込みの環境が用意されていて、働いた分がしっかりお給料となって返ってくるという条件は、当時の私にとってとても魅力的でした」

住み込みで働くことについて、直山さんは過去に静岡県の弁天島にあるホテルで働いた経験があったため、不安よりも「いろいろな土地に行ける」という楽しみの方が大きかった。そうして直山さんは、新たな生活へと一歩を踏み出した。

実際に働いて気づいた、観光地で働くことの「本来の楽しさ」

実際にリゾートバイトを始めると、忙しい時期などには体力を求められる場面もあったが、直山さんがネガティブな感情を抱くことはなかった。むしろ、求人情報を見ている段階では想像もつかなかった、現地ならではの魅力に惹かれていったという。

「実際に働いてみると、その土地の観光ができたり、その土地の名物や産物を現地で食べられたりするのが本当に楽しかったです。また、繁忙期をしっかりと勤め上げた後にお給料明細を見て、働いた分がきちんと成果として反映されている喜びを知ったことも、モチベーションに繋がりました」

リゾートバイトを通じて土地やホテルによって、お越しになるお客様の層や雰囲気が違うことや、その土地ならではの仕事のやり方を肌で学べたことは、直山さんにとって大きな経験となっていった。

人の温かさに触れて変化した心境

リゾートバイトとして全国4〜5箇所ほどの施設を巡った直山さんだが、最後に訪れた群馬県の草津での勤務を終えた後、かつて派遣スタッフとして働いたことのある佐渡島のホテルへ再び戻ることを決める。離島という環境であり、生活の利便性が決して高いわけではない佐渡島への出戻りを選んだ理由は、純粋に「人」であった。

「年齢を重ねたからこそ言えるのですが、住みやすさも大事だけど、やっぱり最後は『人』。言葉では言えないけれど、ここの会社の皆さんは自分の肌に本当に合ったんです。かつての私は、仕事上でしかコミュニケーションをとらず、仕事が終われば従業員と話すこともなく、少しギスギスした人間でした。でもリゾートバイト時代に他の地域で素敵な女将さんに出会って『私もこんな女性になりたい』と思えるようになり、さらに佐渡の人の温かさに触れ、惚れ込んでしまいました」

2回目のリピーターとして佐渡のホテルで働いていた派遣期間の終盤、現社長から「ここで社員として働かないか」と直接雇用のオファーを受ける。
離島である佐渡島は、都会ほど給与水準が高いわけではない。
しかし、直山さんの心は決まっていた。

「リゾートバイトは住み込みで寮費や光熱費が無料ですし、まかないも付いているので、手元にお金が残りやすいという大きなメリットがあります。別の場所でさらに貯金を増やす選択肢もありましたが、私はそれ以上に『この人たちと一緒に働きたい』『ここで生きていこう』と感じて、正社員になることを決めました。移住には勇気が必要でしたが、それほど私にとってこの場所が特別だったのだと思います」

派遣スタッフの背景に寄り添う、受け入れ側としての視点

直接雇用へと切り替え、現在は営業部の次長という責任ある役職に就いている直山さん。現在は派遣スタッフの受け入れや教育にも携わっており、指導する立場として「お客様が目の前にいるときに困りごとがないかなどに自ら気づき、積極的に声をかけること」の大切さを伝えている。相手に寄り添う一歩進んだ姿勢こそが、この仕事における大切な基本であり、直山さん自身が現場で今も実践し続けていることでもある。

そして今、直山さんは派遣スタッフを「受け入れる側」の立場となり、かつて自身が派遣として各地を渡り歩いたからこその視点を現場の環境づくりに反映させている。女性の派遣スタッフがより住みやすくなるような部屋の水回りの改善や、交通の便のサポートについても、会社の課題として常に問題意識を持っている。

「リゾートバイトという働き方を選択する人の背景はさまざまです。明確な夢や希望を持っている人もいれば、なんとなく始めてみたという人もいます。かつての私のように『とにかくお金を貯めたい』という目的の人も少なくありません。受け入れる立場となった現在は、そうした多様な思いを持ってやってくるスタッフ一人ひとりの声を、できる限りひろいあげたいと思っています。それぞれの目的を持ってせっかく佐渡島へ来てくれているからこそ、しっかりとお金も貯めて、美味しいものも食べて、この土地での滞在を楽しんでほしいです」

「お金のため」と割り切って始めたリゾートバイトだった。
しかしそれは、40代前半という人生の転換期に一度立ち止まり、自らの手でこれからの生き方とキャリアを再構築した直山さんの歩みとなっている。

執筆者

リゾートバイトナビ - 「旅して働く」リゾートバイトの歩き方 -

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編集部

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