2025.12.03
公開日:2025.12.03

【連載】横浜から最北端へ|第3回「色々なリゾートバイト」

【連載】横浜から最北端へ|第3回「色々なリゾートバイト」

読者の皆さま、こんにちは。
札幌で仕事をする傍らライター活動をしている白丸あすかです。

私は神奈川県の横浜市出身で、都内の大学を卒業後、日本最北端の稚内に就職して6年間を過ごしました。稚内では日々の暮らしや北海道あるあるを漫画にしてSNSで発信をしており、Webマガジンの連載、電子書籍発売、公認インフルエンサー就任といった活動をさせていただきました。

本連載は北海道での暮らしと地方移住、そしてリゾートバイトをテーマにした実際の体験談です。

リゾートバイトは全国津々浦々

大学一年生の夏休みに北海道の知床でリゾートバイトデビューを果たした私は、他の地域の求人にも興味を抱くようになりました。知床生活を終えた年の冬休みに、今度は岐阜県の山奥にあるホテルでのリゾートバイトに行くことを決意します。仕事内容は主に食事会場の配膳で、期間は2週間弱の短期でした。

正直な感想を申し上げますと……この時の職場はなかなか大変でした。

理由は年末年始の繁忙期で単純に忙しかったことと、生活圏となるホテルの周りに山以外何もなく、プライベートの楽しみを見つけられなかったのが辛かった印象です。岐阜での体験から分かったのは、リゾートバイトには様々な職種、勤務形態、生活環境があり、場合によっては自分に合わない現場も存在するということです。

ただし、岐阜でのリゾートバイトは辛かった思い出だけではありません。

忙しい反面やりがいはありましたし、眼前に聳える雪化粧をした飛騨の山々は息を呑む美しさでした。知床の時同様に従業員はホテルの温泉を利用することができましたので、仕事おわりの疲れきった身体を癒せるバスタイムも至福の時でした。よって岐阜でのアルバイトがきっかけで「もうリゾートバイトはこりごりだ……」とはならなかったのが幸いだったと思います。

リゾートバイトは、だいたいの勤務期間があらかじめ決まっています。たとえ自分に合わない職場に入ってしまっても、期間満了まで頑張れば時間が悩みを解決してくれるのが他の仕事にない利点です。もしも理想の職場に出逢えたのなら、延長やリピートをすればよいのです。

伊豆でのリゾートバイト経験

私は知床と岐阜でリゾートバイトをした後、もう一度知床の職場をリピートして、順調にリゾートバイターとしての階段を登っていきました。大学2年生の年末に冬休みの過ごし方を考えていた私は「やっぱりリゾートバイトをしよう」という結論に至ります。

この時に勤務先として選んだのは、伊豆のホテルでした。仕事内容は客室メイキング、館内の清掃、洗い場、配膳補助などの裏方業務全般です。ホテルの規模がさほど大きくなかったこともあり、従業員同士の距離感が近いアットホームな職場だったのが印象です。同年代のスタッフはいませんでしたが、勤務先の支配人と女将さんがとてもやさしい方だったので、年齢の壁を気にすることなく働くことができました。

そして、伊豆での生活はこれまでのリゾートバイトとひとつ違う点がありました。

それは……最初から自分の足(乗り物)を持ち込んだというポイントです。

最初に知床で働いた時に「運転免許が欲しい」と感じた私は、合宿で普通免許を取り、リゾートバイトで貯めたお金を使って原付バイクを購入していたのです。相棒と一緒に臨んだリゾートバイトはプライベートの時間がこれまでにないくらい充実していて、寮を拠点に伊豆半島の様々な場所へ出かけることができました。(知床の時もマイ自転車に乗っていましたが、やはりエンジンのついた乗り物は行動できる範囲の広さが桁違いです……!) 

地方での暮らしは公共交通が不便な反面、自前の移動手段さえもっていれば自由度が高く、意外と自分に向いているのだと実感しました。

リゾートバイトは、観光と仕事を両立できる数少ない労働形態のひとつです。しかも、その土地で日常生活を送ることで、ただ数日滞在するだけの旅行では知り得ないディープな部分を見られます。これはもはや、お試しで地方移住をしているようなものではないでしょうか。元々地方移住に興味があった私は、旅行以上移住未満を体験できるリゾートバイトに深くハマっていくことになります。

ちなみにこの時の伊豆のホテルは、後にゴールデンウィークと年末年始を中心に繰り返しリピートで働かせていただく長い付き合いとなりました。

離島でのバイト経験

夏は知床、ゴールデンウィークと年末年始は伊豆。という1年間のリゾートバイトサイクルを確立した私でしたが、大学生2年から3年にかけての春休みには、約2ヵ月間を使ってこれまでに経験したことがない環境でのリゾートアルバイトに挑戦しました。

それが伊豆諸島にある三宅島でのリゾートバイトです。

三宅島は東京から約180km南の海上に浮かぶ、一周30km程度の小さな離島です。島の中心に活火山(雄山)があり、ここ数十年の間にも度々噴火を繰り返している火山活動が活発な土地です。

三宅島へは、竹芝から原付(あいぼう)と一緒に乗船した深夜便で未明の上陸を果たしました。三宅島は海の荒れ具合によって客船の入港する港が変わるため、下船しても周囲の暗さと相まって自分がどこにいるのか全く分かりません。「スゴイところに来てしまった……」と驚きつつも、私はこれから始まる未知の生活に、胸を躍らせていたのを覚えています。この時の心境に関しては、リゾートバイトを回数こなすうちに、新しい環境への耐性がついていたのだと思います。

島での仕事内容はリゾートバイトにしては珍しい、個人店の商品管理やレジ打ち等が主でした。業務的には一般的なコンビニバイトに近かったのですが、生活環境はやはり特殊で、

  • 物価が高い
  • コンビニや大きなスーパーが無い
  • 海が荒れると生活物資が入ってこない

などの離島ならではのあるあるが次々と私に襲いかかってきました。

中でも特筆すべきなのは寮に携帯の電波がなかったことです。携帯キャリアによって受信状況は違ったみたいですが、当時私が使っていたスマホでは全くダメでした。最初は途方にくれましたが、幸い自分は原付を持ち込んでいたので、どうしても電波が必要な時は、アンテナが立つ場所まで自走して電話や検索をしていました。時にはフリーWi-Fiを求めて、わざわざ島の反対側にある観光協会の建物まで赴いたこともあります。今思い返すとだいぶ滑稽な話ですね(笑)

波乱の三宅島生活には、いい意味で裏切られたポイントもありました。それは年齢の近い同性の仲間が2人もいたことです(一人は三宅島の人、もう一人は同じくリゾートバイトで来ていた人)。

これまで私は比較的スタッフの年齢層が高い職場ばかりを点々としてきたので、この出会いはとてもうれしい誤算でした。お互いにこんな離島で同年代と交流できるとは思ってもいなかったらしく、私たちはすぐに意気投合。家で夕食をごちそうになったり、車で島内の色々な所へ連れていってもらったりしました。

いつしか携帯の電波がないことなんて全く気にならないくらいに楽しく過ごせるようになっていて、こういった人との出会いもリゾートバイトの醍醐味だと知ることができました。三宅島は私が経験したリゾートバイト先の中で一番特殊な生活環境でしたが、振り返ってみると何気ない日常が一番楽しかった職場であったとも言えます。

離島でのリゾートバイトも満喫できてしまった私は、この頃から「住めば都」を座右の銘として謳うようになり「自分は日本全国どこでも暮らしていける!」という自信をつけていきました。心の奥に芽生えていた地方移住への憧れも、段々と本格的な将来の希望へと変化します。

次回は、最終的に地方移住をするための足掛かりになった、学生時代の旅について書きたいと思います。

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執筆者

白丸あすか

白丸あすか

旅好き道民ライター

狂った距離感で道内外へお出かけ! マイカーでのドライブ旅が大好きです 生息地は主にXとNote

https://note.com/asuka_shiromaru

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