2026.03.03
公開日:2026.03.03

未経験から旅館の女将へ。リゾートバイトが切り拓いた新しい人生。

未経験から旅館の女将へ。リゾートバイトが切り拓いた新しい人生。

静岡県・伊豆。素敵な着物に身を包んだ榎本さんは、現在この場所で女将をしている。
一見すると、長年旅館業界で経験を積んできたベテランのような風格が漂うが、実は彼女がこの世界に飛び込んだのはつい数年前のことだ。「自分が女将になるなんて、以前は想像もしていませんでした」と語る榎本さん。地元・埼玉から一歩も出たことがなかった彼女が、いかにしてリゾートバイトと出会い、理想のキャリアを掴み取ったのか。その軌跡を追った。

美容師、調理、接客……「何か物足りなかった」埼玉時代

リゾートバイトを始める前、榎本さんは地元・埼玉でさまざまなキャリアを積んでいた。実は、彼女のキャリアの原点は「美容師」にある。

「美容師をしていた時期があって、その時に着付けも覚えました。その後、レストランや結婚式場の厨房、社員食堂など、調理や接客の仕事が多かったんですけど、ずっと地元を出たことがなかったんです」

手に職を持ち、忙しくも充実した日々。しかし、旅行に行きたくてもなかなか休みが取れず、たまの休みも日帰りで何時間も運転して帰ってくるだけ。そんな、同じ毎日が繰り返される日々の中で、どこか物足りなさを感じていたという。

「本当に旅行に行きたいなと思っても、泊まる分だけお金もかかるし……という感じの日々で。同じ毎日の中で、自分でも気づかないうちにストレスを感じていたのかもしれません」

そんな時、職場に入ってきた派遣の女の子に「前はどこで働いてたの?」と聞いたことが、大きな転機となる。

「彼女が答えた場所が、ものすごく遠いところだったんです。えっ、なんで?って聞いたら、『リゾバって知ってますか? 旅行しながら働けるんですよ』って。その言葉が衝撃でした。全然知らない世界だったので、一気にそっちに行きたい!と思って。その子にいろいろ聞いて、すぐにダイブ(派遣会社)に電話をしました」

3万歩を歩き、神社を巡ったリゾートバイトでの日々

思い立ったらすぐ行動。榎本さんは、楽しみな気持ちが不安を上回り、トントン拍子に話が決まっていったと振り返る。

「不安は、その時住んでいたアパートを手放すかどうかくらいでした。それよりも、いろんな神社に行きたかったので『全国行けるんじゃないの!』という楽しみの方が大きかったです。店長も背中を押してくれたので、すぐに出発しました」

最初に向かったのは、ずっと行きたかった高野山。そこから秋田の温泉地、能登、西伊豆、箱根、越後湯沢。 「基本はGoogleマップを見て、この神社に行きたい、この山に登りたいという基準で選んでいました」という彼女だが、実際の現場は想像以上にハードだった。

「高野山では、朝食の準備からお掃除、宿坊の床の雑巾がけまで。毎日30,000歩くらい歩いていました。本当に疲れたけれど、休みの日があるから頑張れましたね」

各地を巡る中で、彼女は仕事のやりがいと共に、新しい楽しみにも出会う。それが、日本酒だった。

「秋田に行った時は、出羽三山に登りたい、おばあちゃんのお墓参りに行きたいという目的がありました。そこで日本酒の美味しさに目覚めて。ただ働くだけじゃなく、自分のやりたいことのために頑張れる。それがリゾートバイトの良さでした」

3日間の体験から「女将」への道へ

リゾートバイトを続ける中で、榎本さんの心に一つの思いが芽生える。きっかけは、秋田にいた時にインスタグラムを開いた際に流れてきた、地域の情報広告だった。

「青森の旅館が、後を継ぐ人がいないからと『若おかみ体験をしませんか』という募集をしていたんです。元々、いつか自分の場所に人が集まってくれるような仕事ができたらいいなと考えていたので、楽しそうだなと思って。実際に3日間、お掃除からお出迎えまで体験させてもらいました。そこで女将さんの人柄を慕ってお客様が集まってくる様子を見て、今までは、会いたい人がいたら、自分から会いに行っていましたが、『会いに来てもらえる人になる』のも素敵だなと感じたんです」

その後、越後湯沢での仕事を終える頃、たまたま見つけた就職先の面接を受けた。最初は箱根を希望していたが、会社側から打診されたのは別の場所。そこからまたトントン拍子に話が進み、現在の旅館で女将としてのキャリアがスタートした。

「女将になりたいという夢はありましたが、思ったよりも早すぎるくらいトントン拍子に決まって(笑)。今は、リゾートバイトで培った変化への適応力や、美容師時代に学んだ着付け、それから調理補助の経験。そのすべてを活かして、自分らしく色を出していこうと奮闘しています」

現場の気持ちがわかる「女将」として

実際に女将になってみると、一人で反省会をして泣いてしまうような大変なこともある。しかし、そんな時に彼女を支えるのは、やはり「現場を知っていること」だった。

「派遣スタッフの子が入ってくると、『3日目くらいが一番疲れるよね』って、自分の経験から声をかけられるんです。私がリゾートバイトをしていたことを知ると驚かれますが、親近感を持ってもらえる。現場の空気やスタッフの疲れがわかるのは、私の強みだと思っています」

現在の榎本さんのもとには、かつてのリゾートバイト仲間や、以前の職場の支配人が遊びに来てくれることもあるという。全国に広がった人との繋がりは、彼女にとってかけがえのない財産になっている。

「これからは女将としての仕事はもちろん、唎酒師の知識を活かして、この地域の日本酒を自分たちの手で造ってみたいという夢もあるんです」

「動かないと、変わらない」。その言葉を胸に、一歩踏み出した先で見つけた新しい景色。榎本さんの挑戦は、これからも続いていく。

執筆者

リゾートバイトナビ

リゾートバイトナビ

編集部

リゾートバイトナビは、株式会社ダイブによるオウンドメディアです。

https://resortbaito-dive.com/

新着のリゾートバイト求人