27歳、自立の決断。 元・個人経営者が箱根のリゾートバイトで掴んだ「一生の仕事」

かつて個人で事業を営んでいた梯(かけはし)さんは、27歳のとき「自立する力をつけたい」と箱根へ渡った。
1対1の接客から、チームで動く大規模ホテルの現場へ。
環境を変えたことで気づいたのは、自分だけで頑張るよりも、仲間の強みを頼る方がずっと良いサービスを届けられるということだった。
なぜ期間限定のリゾートバイトから、直接雇用という道を選んだのか。 キャリアブレイクを経て見つけた、仕事への新しい価値観を聞いた。
27歳の決断。地元を離れ「生活する力」をゼロから養う
リゾートバイトを始める前、梯さんはパーソナルトレーナーとして自ら事業を営んでいた。お客様と1対1で向き合い、心身をサポートする仕事にやりがいを感じていた一方で、梯さんの心にはある思いが芽生えていた。
「『もっと、接客のコミュニケーションスキルを磨きたい』お客様と話すときの会話の幅を広げ、知見を身につけたい!という思いがありました。その中でホテルマンという仕事が目に留まり、住まいも変えられるリゾートバイトを始めました」
20年以上住み慣れた地元を離れることに、抵抗がなかったわけではない。しかし、27歳という年齢。「実家を出て、自分一人で生活する力を身につけたい」という自立への渇望と、メディアで頻繁に目にする箱根という土地への関心が、彼の背中を強く押した。
%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%92%E3%82%9A%E3%83%BC.webp)
「一人」の限界、チームで超えるサービス
実際に箱根のホテルで働き始めると、これまでの経験が通用しない「壁」に直面する。
「トレーナー時代は、1時間という枠の中で一人のお客様に深く寄り添えばよかった。でもホテルでは、1日に30組近いお客様のチェックインに対応し、そのすべての方に寄り添うことを目標とします。最初は自分一人ですべての情報を把握しきれず、もどかしさを感じる日々でした」
かつての梯さんは、10代のアルバイト時代から「自分が率先して動く」タイプ。人に頼るよりも自分で完結させることを自負してきた。
しかし、スピード感のあるホテルの現場は、一人の力では限界がある。
「ここで学んだ最大の変化は、仕事はチームでやるものだと気づけたことです。この人は清掃に強い、この人は接客が抜群にうまい。周囲を信頼し、適切に頼る。そうすることで、一人で頑張っていた時よりもずっと高いレベルでお客様に寄り添えることを知りました」
「育てる」側に立ちたい。派遣の枠を超えた先に見つけた覚悟
「もっとホテル業界で力をつけていきたいと思ったとき、派遣社員だからこそできない業務があることに気づきました。私はもともと、率先して物事を考えたり改善したりするのが好きなタイプ。自分が現場で得た経験を生かし、次は後輩を指導する立場になっていきたいと強く思うようになったんです」
%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%92%E3%82%9A%E3%83%BC2.webp)
リゾートバイトを通して、職場を好きになり、もっと良くしていきたいと感じるようになった梯さんは、「期間限定」というリゾートバイトの枠組みを卒業することを選ぶ。それは、この業界で腰を据えて働くという、梯さんの覚悟の表れでもあった。
自身の思いを支配人に相談した際、返ってきたのは心強い言葉だった。 「『梯さんならぜひ正社員になってほしい』と支配人も背中を押してくださいました。感謝の言葉をいただけたことも、ここでやっていこうと決める大きな決め手になりました」
学生時代には、自分がホテルマンになるとは想像もしていなかった。
しかし、リゾートバイトという環境で、お客様一人ひとりに寄り添う喜びを再発見した今、確信を持って言えることがある。
「自分が本当にやりたかったことは、こういう仕事だったんだなと、この現場で気づかせてもらいました」
自らの意志で選んだ「直接雇用」という道。
それは、キャリアブレイクを経て手に入れた、新しい自分への挑戦の始まりだった。
環境を変えて手にした「一生の仕事」
「リゾートバイトは、住む場所と働く場所が同時に変わる。社会人になってから、これほど一気に環境を変えられる機会はなかなかありません。自分をアップデートできる、本当に素敵な環境だと思います」
縁もゆかりもない箱根での生活は、梯さんに「自分でも気づかなかった可能性」を教えてくれた。チームで動く喜び、そして多様なお客様の人生に触れる観光業の醍醐味。リゾートバイトという選択で手にした新しい視点は、今の彼にとって確かな財産となっている。
「観光業の魅力は、お客様の人生の断片に触れ、それを共有していただけること。ここで得た多種多様な価値観は、私にとって大きな糧になりました」

そんな彼には、見据えている夢がある。それは、独立し、いつか自分のお宿を持つことだ。箱根の仲間たちと切磋琢磨し、最高のサービスを作り上げた経験が、彼が描く未来の土台となっている。
「リゾートバイトに挑戦したことで、自分が本当にやりたかったことに気づくことができました。あの時、27歳で決断して本当に良かったです」
キャリアブレイクを経て、自らの意志で選んだ今の働き方。箱根の地で一回り大きく成長した梯さんは、これからも目の前のお客様一人ひとりと向き合い、自らの道を切り拓いていく。
.webp)





































